息子が生まれてからの物語19話目。
前回の続き。
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「来たよ~!」
娘の明るく元気でかわらしい声が
病室が包つんだ。
息子の気管切開手術の3日後の週末、
娘は1週間振りにこども病院へお見舞いに。
お母さんに会える喜びと
手術を頑張った弟を励ますように
声を掛けていた。
「ただいま~!」
私は、思わずこう言っていた。
家族4人で一緒にいられる空間は
この病室だけだ。
だから「ただいま」という言葉が
出てきたんだと思う。
息子も妻も笑顔で迎えてくれた。
息子の口から出ていた管がなくなっていた。
代わりに、首の下の方を切開したところに
カニューレという管がついている。
その周りには、まだ少し血が滲んでいた。
痛々しいけど、それよりも口や手が自由に
動かせるようになることの方が数倍嬉しい。
ただ、数日間は手術後の用心のため、
肘を固定するギプスのようなのもをつけ
手が気管の傷口に触れないようにしている。
まだ口でおっぱいを吸う力はなく、
鼻の栄養チューブはそのままだ。
これも時期にとれるようになるだろう。
退院の目途は、はっきりついていないが、
あと1~2カ月ぐらいで退院できそうだ。
先が見えてきた。
妻と娘が家に帰り、
病室は息子と私の二人になった。
息子は体を動かせるようになったが、
3カ月近く体を固定されていたので
簡単には動けないようだ。
時々、息子をそっと抱きしめる。
こういう時間も好きだ。
息子は大変な状況だけど、
そのお陰で、今この時間に
やすらぎや喜びを感じることができる。
息子が産まれて5カ月が経過。
家にいた時は痩せていたが、
ここ3カ月はミルクを鼻のチューブから流して、
栄養はしっかり取っていた。
なおかつ体はほぼ固定され身動き取れないので、
赤ちゃんらしく丸々して
ほっぺもかわいくふくらんでいた。
息子と過ごす時間は、
ほぼずっーと息子を見ていて、
ふくらんだほっぺを見て
ふと、あることを思いつた。
続く…。
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