お父さん、気づいたね! 声を失くしたダウン症の息子から教わったこと

ダウン症・呼吸器機能障害・音声言語障害のある息子のお陰で、毎日を幸せに生きられるようになった学びと気づきを綴ります。

眠れぬ夜、決断の時期

息子が生まれてからの物語39話目。

前回の続き。

 『息子の誕生』←ここからスタートしてます。

 

2002年夏、転職の決断期限まで2カ月。

 

夜なかなか寝付けない。

 

布団に入っても転職のことを考えてしまい

いつも2、3時間が経っている。

 

仕事をしている時は仕事に集中しているが、

ふと時間があると、転職で頭がいっぱい。

 

食欲もあまりわかない。

体重も5Kg減った。

 

転職しても就業条件や待遇面は

ほとんど変わらない。

でも仕事は大きく変わるし、

人生も大きく変わるだろう。

 

銀行の仕事も充実していたし、

特に不満もなかった。

 

引っ越しを伴う転勤の可能性があり、

問題はそれだけだった。

 

息子とずっと一緒に

暮らしたい。

 

それだけの理由で

転職してもいいものだろうか?

あとで後悔することはないだろうか?

 

普通なら、仕事も順調で

安定した銀行を辞めることは考えにくい。

 

一方、

転職のお誘いをしてくれた会社も魅力的だった。

仕事が変わっても、活躍できる自信はある。

 

 

9月に入り決断の時がきた。

 

 

転職しよう!

 

 

息子とずっと同じ家で

暮らしたい。

 

新しい会社で、

自分の力を試したい。

 

この2つの理由で決めた。

妻も喜んでくれた。

 

銀行の支店長に、退職願を出す。

 

突然の退職願で支店長は愕然としていた。

 

考え直すように私を説得するが、

考え直す時間はない。

 

10月には息子の検査入院があり、

息子のそばにいると決めた。

退職を延期はできない。

 

私も自分の考えが変わらないように

敢えて直前に退職願を出した。

 

退職直前まで、

支店長や一部の役職者以外には、

退職のことは伏せることになった。

 

10年半勤めた銀行の最後の半月は

これまでにないリラックスした気持ちで、

勤務し、引継ぎの準備をする。

 

9月末、人事異動の通達に、

私の退職が記載されると、

先輩や同僚からたくさんの電話がかかってきた。

 

「どうしたの?」

「何かあったの?」

「これからどうするの?」

 

息子のことや転職先のことを丁寧に話す。

 

ほとんどの人が私の決断を応援してくれた。

 

「頑張ってね。

 田中なら、

 いい仕事できるよ」

 

うれしかった。

ありがたいと思った。

 

新しい会社でも活躍して

応援してくれる人の

期待に応えたいと思った。

 

両親に銀行退職の報告をすると

 

「信じられない。

 何を考えているんだ。

 何で事前に

 相談しなかったんだ」

 

と言われる。

 

予想通りだ。

でも、親の立場で考えたら当然だろう。

 

 

転職という私にとって人生最大の選択も

息子の存在が決断させた。

 

続く...。

  

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